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新型コロナウイルス感染症対策サイトは速攻で作られた

 東京都が公開した「新型コロナウイルス感染症対策サイト」は速攻で作られたようで話題になっていますね。

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 このwebサイトは、都内の感染者数やコールセンターへの相談件数などをグラフや表で視覚的に分かりやすく掲載して作りも素晴らしいです。

 自治体が作ったものとしては異例のオープンソースとしてソースコードGitHubで公開しています。一般の人もサイトの構造を確認でき、コードの改善提案を出したり、他の自治体がコードをコピーしてそれぞれの対策サイトを作ったりできるようにしています。これまでは、東京都のサイトやサービスでソースコードが公開されることはなかったので本当に新しさを感じます。

 このサイトを作ったのは元ヤフー社長の宮坂学副知事ら「特別公報チーム」とのこと。発足からたった1週間でサイトを公開したようです。

「宮坂学副知事」の画像検索結果

 台湾のデジタル担当大臣のタン氏がサイトに改善提案を出していると話題になったり、神奈川県や北海道で都のソースコードを流用して作られた対策サイトが立ち上がって取り組みが急速に広がっていますね。

<東京都はどうやって即座にこのサイトを作れたんでしょうか?>

1、2月26日、東京都は宮坂副知事をチームリーダーとして新型コロナウイルス感染症に関する情報発信を担う特設の特別公報チームを立ち上げた。

2、「新型コロナウイルス感染症という今までないような状況で、正確な情報を都民に迅速に届けることが最重要課題」としてどのように情報発信するべきかアイデアを出し合った。

3、 新型コロナウイルスの感染者数は日々変化していくため、サイトも常に改善を続けられるようにする必要があったため、宮坂副知事がオープンソースなサイトの構築を提案した。「情報発信は東京都だけの問題でない」として、他の自治体でも同じ仕組みを使えるようなサイトを作りたいと考え、GitHubソースコードを公開することにした。

4、データの収集やサイトの要件などをまとめるのと同時に、サイト制作の委託先を選定。

5、3月2日、サイト制作を「なるはや」作るよう発注し、2日で完成。

6、3月3日、公開にこぎつけた。

 アイデア出しから1週間でWebサイトを公開するのは劇的に早いですね。対策サイトの開発が高速で進んだ要因は、「開発規模の小ささ」と、企画設計~実装~テストまでを短期間で繰り返す「アジャイル開発」にあったようです。

 規模にもよるが、東京都においてWebサイト制作にかかる期間は2カ月以上になる場合が多く、この対策サイトが普段通りの規模感で開発されていた場合、公開は5月以降になっていたかもしれないとのこと。

 小規模プロジェクトだったことや、新型コロナウイルス感染症対策の緊急性が高いこともあり、制作にかかる時間が大幅に短縮できたらしい。

 この対策サイト制作では、全ての機能を完成させてから公開するのではなく、重要な情報から順次表示できるようにしていくという方針を立てて開発を進めたようだ。

 公開当初の掲載情報は感染者数やコールセンターへの相談件数にとどまっていたが、その後グラフの追加などが行われ、地下鉄の混雑度合いや検査実施数なども確認できるようになっている。コアな情報だけをとりあえず先に見せて、日々更新していくことでサイトの厚みを増していったのだ。

 対策サイトの日々の更新の礎になっているのは職員や発注先ベンダーのエンジニアだけの考えだけではない。サイト公開以降に一般の人々からの改善提案は1000件以上も集まった。メディアで取り上げられたことをきっかけに提案数が爆速でに増えているようだ。コードが書けなくても改善提案ができるふうにしたことが功を奏したのだろう。
 都は対策サイトのソースコードだけでなく、そこに掲載している情報のデータ形式GitHub上で公開してオープンデータ化している。情報の集め方は自治体によって違いがあるが、データ形式さえ合わせれば東京都が公開しているソースコードを書き換えなくても、そのまま独自の対策サイトが作れるのだ。またデータ形式をチェックすれば、必要な集めるべき情報もすぐに理解できるというメリットもあるようだ。

 GitHubでオープンデータを出していけば世界中の人がいろんな人が開発に参加してくれる。日本中にオープンな取り組みが広がっていく契機になるものと期待されているようだ。