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実際のところ、エレクトロニクス業界への新型コロナの影響ってどうよ

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新型コロナウィルスの情報が毎日錯綜しているが、エレクトロニクス市場~経済への影響は実際のところのどんなものなのか考えてみた。


色々な会議、展示会などが中止に追い込まれているが、2020年の半導体業界の好景気が予想されていただけに業界の動向が気になるところ。

下記の点から2020年の半導体市場の成長率は20%以上となるとの予想が大勢だった。
・2019年後半からメモリの供給過剰についての見方が感が徐々に緩和されてきている
・2020年は5Gサービスの開始でスマホの需要が活性化しそう
Windows7のサポート終了でPCの買替需要が期待される

つまりは、今回の新型コロナの影響でスマホやPCが予定通り生産できるのか、がポイントとなってくるのだ。

現在、市場で流通しているスマホの約70%が、PCに至ってはなんと90%が中国生産である。
中国の多くの工場が操業停止に追い込まれている状態をみると、どんな影響が出るのか想像易い。

世界最大の電子機器受託製造メーカーである鴻海精密工業は、
iPhoneDELLのPCなどを受託生産しているが、同社工場の稼働率は50%程度に留まっいるといい、
iPhoneSEの次期モデルとされる新型の発売も遅延すると言われている。

 

筆者の取引先電子機器受託製造メーカーからも毎日下記のようなメールが届く。

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何とか状況を克服しようという現場の空気感が伝わってくるものだ。


2019年の世界半導体市場規模は4120億USD(世界半導体市場統計)。
このうち中国市場は35%、中国を除くアジア市場は27%である。
中国国内でのPCやスマホの生産稼働率が50%に縮小した場合、17〜18%の半導体需要が消えることになる。
生産地の移転やウィルス問題終息後の回復力などを考慮すると、ここまで極端な影響はないものと思われる。

上記のメール内容からも伺えるように、様子を見ながらも工場の稼働再開を早めようとする動きがある。
エレクトロニクス市場への影響はだいたい10%程度に収まるものと思いたい。
今年2020年の前半は10%以上の影響を覚悟する必要はあっても、
後半に事態が終息し、前半の落ち込みをある程度カバーするように生産市場は動くものと期待したい。